Sachi Animal(さちアニマル)

どうぶつをもっと身近に。

犬の緑内障ってどんな病気?症状や治療・予防方法など

  2016/06/20
 

犬の緑内障は、すぐに治療をしないと失明してしまう怖い病気です。そのため緑内障の知識を持って、毎日愛犬をよく観察することがとても大切です。今回は、犬の緑内障の治療の方法や症状、かかりやすい犬種などについてご紹介します。

スポンサーリンク



犬の緑内障って?

緑内障の予防法などをご紹介する前に、まずは緑内障とはどんな病気なのかを詳しくご紹介していきます。

緑内障とは

犬の緑内障にかかりやすい柴犬

photo by Will Fisher

犬の緑内障とは、眼圧(眼球の内部の圧力)が高くなり、眼球の後ろにある視神経や網膜が圧迫されてしまう病気です。眼球の中を流れている房水(ぼうすい)という液体の流れが悪くなることで眼圧が高まります。

房水は毛様体でつくられ、眼球の前側(前房)に向かって流れていきます。その後角膜の端にある隅角(ぐうかく)を経て、線維柱帯(せんいちゅうたい)やシュレム管というスポンジのような吸収組織から吸収されます。

しかしこの流れが悪くなり、房水がうまく排出されないことで眼球の中に房水がたまり、眼球に内側からの力が加わります。緑内障の症状が出るのは、片目だけのときもあれば両目のときもあります。

そのままにしておくと視力を失ってしまうこともあるので、早期に治療を開始しましょう。犬の緑内障の中でも、急性緑内障の場合はとくに、すぐに治療しないとほとんどが失明してしまいます。

緑内障の種類

犬の緑内障にかかりやすいビーグル

photo by Seongbin Im

緑内障には、2種類あります。

【原発性】 人間には多く見られるが、犬にはあまり見られない緑内障。他の目の病気を伴わず、隅角に異常はない。
【続発性】 犬がかかりやすい緑内障。ブドウ膜炎といった他の目の病気の後に起こり、隅角がとても狭くなる。

緑内障の原因って?

隅角が狭まる(閉塞隅角型)ことや、隅角に異常がなくても、線維柱帯やシュレム管に異常があって房水をうまく吸収できなくなる(開放隅角型)ことが原因となります。これらの原因は、以下のような病気などによって引き起こされます。

■ブドウ膜炎
■前房出血
■水晶体脱臼
■眼球内腫瘍
■遺伝

症状

■涙が出る
■目が充血する
■瞳孔が常に開いている
■両目の大きさが違う
■眼球が大きくなって目が飛び出しているようになる(牛眼)
■目の奥の緑色や赤色の組織が見える
■嘔吐する
■まぶたが痙攣する
■頭を触られると嫌がる
■食欲がなくなる
■痛みから頻繁に目を閉じる

緑内障にかかりやすい犬種って?

犬の緑内障にかかりやすいシベリアン・ハスキー

photo by Deejay Wei

遺伝的に緑内障にかかりやすい犬種は、いずれ両目が緑内障になってしまう傾向にあります。

先天的に隅角に欠陥がある犬

マルチーズ
トイ・プードル
■シーズー
■アメリカン・コッカー・スパニエル
■チャウチャウ
■シャー・ペイ

隅角が狭くなりやすい犬

■秋田犬
■サモエド
■シベリアン・ハスキー
■ノルウェジャン・エルク・ハウンド
■アラスカン・マラミュート

水晶体脱臼になりやすい犬

ボストン・テリア
■ケアーン・テリア
■ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
■マンチェスター・テリア

柴犬
ビーグル

緑内障の治療・予防法とは

緑内障の治療や予防の方法についてご紹介します。

診断

緑内障の診断には、眼内圧が上昇しているかどうかを調べるのがとても大切です。眼圧を測ったとき25~30mmHg以上で、視覚に何らかの障害が見られると、緑内障と診断されます。しかし、眼内圧を計測する器械は高価なので、この器械がない動物病院も多いです。

緑内障で眼圧がかなり高くなっている状態なら、犬の目を閉じさせ、まぶたの上から指で触ることによって診断することもできます。急性の場合は目に疼痛(じんじんする痛み)があり、犬は目を痛がります。

また目に光をあてたとき、瞳孔が開いていたり、目の角膜の表面がもやもやして見えたりすれば、緑内障が疑われます。同じように目が赤くなるという症状が現れる病気としては、急性結膜炎や急性虹彩炎もあり、見分けをつけるのが難しいのですが、これらは治療法がまったく違います。

治療法

犬の緑内障にかかりやすい秋田犬

緑内障の治療は、縮瞳剤(しゅくどうざい:眼圧を下げる目薬)やプロスタグランジン関連薬(房水の排出を促進する薬)、炭酸脱水酵素阻害薬(房水の生産を抑える薬)などの薬を投与したり、レーザー治療をしたりすることによって眼圧を抑えます。

しかし、内科的な治療だけで緑内障を治すことは難しく、1年以内に90%以上の確率で失明してしまうと言われています。また、症状が片目だけに出ていても、8ヶ月以内に50%の確率でもう片方の目にも症状が出る可能性が高いため、症状が出ていない目にも予防措置が必要です。

薬の投与やレーザー治療で効果がなかったり、重症だったりするときは、手術によって房水を排出させます。ろ過法(房水の流出を促進する)や毛様体光凝固術(房水をつくっている毛様体を調整する)、毛様体凍結術(3~6カ月ごとに毛様体を凍結させて房水の生産量を減らす)などの手術です。

視力を失って痛みがあれば、その後の疼痛をなくすため、眼球摘出術(目を摘出する手術)をします。義眼挿入術(義眼をはめ込み、目があるように見せる方法)をすることもあります。また、他にも目の病気を併発していたら、その治療もします。

予防法

緑内障には、残念ながら予防法がありません。そのため、早期発見のために目の定期検査を受けたり、日頃から愛犬を観察しておくことが大切です。

犬の緑内障は早期発見が大切!

犬の緑内障の場合、視力を失った状態で病院に来る人が多いそうです。飼い主として、犬の緑内障の知識を持ち、日頃から愛犬をよく観察してすぐに異変を見つけられるようにしましょう。

 -

この記事をシェアする

  関連記事

chihuahua2
犬の膝蓋骨脱臼って?症状や治療、手術、サプリメントなど

犬の膝蓋骨脱臼は、小型犬がかかりやすい病気のひとつです。生まれつき膝蓋骨脱臼にか …

npd
「National Pet Day」ってどんな日? 制定の理由や過ごし方は?

4月11日の「National Pet Day(ナショナルペットデー)」は、アメ …

corgi-herunia
胴長犬に多い椎間板ヘルニアって?原因や症状・治療法は?

胴の長い犬に多い病気として知られる、椎間板ヘルニア。進行すると歩けなくなり、車い …

dog-bones
あなたは大丈夫?安全なドッグフードかどうかチェックしよう!

市販の全てが安全なドッグフードではなく、粗悪な原材料が使われている場合があります …

americancockerspaniel2
犬の外耳炎ってどんな病気?症状や治療方法・治療費・予防など

犬の外耳炎は、耳の中の外耳道に起こる炎症ですが、定期的に耳掃除をして耳の中をきれ …

chihuahua5
犬の気管虚脱とは?症状や原因・薬や手術などの治療法・費用など

気管虚脱は、犬特有の病気であり、特に小型犬や短頭種(鼻ぺちゃ)の犬がかかりやすい …

pug2
パグの飼い方|性格は愛嬌があって遊び好き?毛色・かかりやすい病気も

パグは「ブサカワ犬」として有名で、他の犬種にはないユニークな顔つきと愛嬌のある性 …

inu-me
犬の白内障って?症状や原因・予防法と治療・手術費用など【老犬は注意】

犬の白内障は、老犬をはじめ犬がかかりやすい病気のひとつです。原因によっていろいろ …

dog-black2
頭の良い犬ランキングって?あなたの愛犬もトップ10に入っているかも!?

ドッグトレーナーであり、心理学博士のスタンレー・コレン氏は、いくつかのデータをも …

fat-dog
肥満による犬の病気まとめ!肥満のおそろしさを知っておこう

最近では太り過ぎの犬を見かけることもあります。犬にねだられてついおやつを与え過ぎ …